JCB法人カードで国税を払うと、納付額1万円ごとに99円(税込)、率にして最低でも約1%の決済手数料がかかります。通常のポイントで、この手数料を取り返せるかどうかが、カード払いの損得の分かれ目です。
- JCB法人カードで、国税も地方税も払えます
- 一般・ゴールド・プラチナ法人カード(最大0.5%)は、通常のポイントだけでは国税の手数料を下回ります
- Biz ONE(最大1.0%)も、手数料と同じ水準にとどまり、納付額によっては手数料のほうが大きくなります
- ポイントが目的ではなく、支払いを後ろへずらして手元の資金を残したいときに、カード払いの意味があります
JCB法人カードで国税も地方税も払える
JCB法人カードは、国税は国税クレジットカードお支払サイト、地方税はeLお支払サイトで払えます。国税のお支払サイトはJCBを含む5つの国際ブランドに対応しています。法人名義のカードを使えるかどうかはカード会社ごとに異なりますが、JCB法人カードは納付に使えます。
- 法人税・地方法人税
- 消費税及び地方消費税
- 源泉所得税及び復興特別所得税
- 印紙税・登録免許税(告知分)
- 自動車重量税(告知分。社用車)
- 延滞税・加算税などの附帯税
- 法人都道府県民税
- 法人事業税・特別法人事業税
- 法人市町村民税
- 事業所税
決算で払う法人税と消費税は、どちらもJCB法人カードで払えます。延滞税や加算税などの附帯税も、本税とあわせて、または単独でカード払いにできます。地方税は税目の一覧ではなく、納付書にeLマークとeL-QRが印刷されているかで対象が決まります。
出典:国税庁「クレジットカード納付のQ&A」、JCB「お手続き方法(各種税金)」、地方税共同機構「共通納税(電子納付)とは」
国税の手数料とポイントの差:一般・ゴールド・プラチナとBiz ONE
一般・ゴールド・プラチナ法人カードは、どの金額で払っても国税の手数料に届きません。Biz ONEは手数料とほぼ同じ水準で、わずかに上回る金額もありますが、納付額が少し変わるだけで手数料のほうが大きくなります。
券種ごとの損益は、次の3つに分けてみていきましょう。
- 国税の手数料と最大ポイントの差額
- 一般・ゴールド・プラチナ法人カードは手数料に届かない
- Biz ONEは納付額によって手数料負けする
国税の手数料と最大ポイントの差額
税金を払っても、JCB法人カードのポイントは通常どおり付きます。付与の倍率は税金でも変わりません。券種ごとの付与は次のとおりです。
- 一般・ゴールド・プラチナ法人カード:200円(税込)で1ポイント(最大1円相当で0.5%)
- Biz ONE:200円(税込)で2ポイント(最大1円相当で1.0%)
一方、国税の決済手数料は納付額1万円ごとに99円(税込)で、1万円を少しでも超えると次の区分に上がります。10万円なら990円、100万円なら9,900円で、率は1万円の倍数ちょうどのときの約0.99%が最も低くなります。次の表は、納付額ごとの手数料と、ポイントの最大値との差額です。
【国税の手数料と最大ポイント相当の差額】
| 納付額 | 国税の 決済手数料 | 一般・ゴールド・ プラチナの 最大ポイント相当 | 差額 | Biz ONEの 最大ポイント相当 | 差額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 10,000円 | 99円 | 50円 | −49円 | 100円 | +1円 |
| 10,001円 | 198円 | 50円 | −148円 | 100円 | −98円 |
| 100,000円 | 990円 | 500円 | −490円 | 1,000円 | +10円 |
| 123,400円 | 1,287円 | 617円 | −670円 | 1,234円 | −53円 |
| 300,000円 | 2,970円 | 1,500円 | −1,470円 | 3,000円 | +30円 |
| 1,000,000円 | 9,900円 | 5,000円 | −4,900円 | 10,000円 | +100円 |
出典:国税庁「クレジットカード納付のQ&A」、JCB「法人カードで税金を納付する方法」
分割払いやリボ払いを選ぶと、決済手数料に加えてカード会社の手数料がかかる場合があり、差はさらに広がります。
一般・ゴールド・プラチナ法人カードは手数料に届かない
境目は、ポイントの還元率が手数料率(最低でも約0.99%)を上回るかどうかです。0.5%のカードは、手数料の半分ほどしか取り返せず、100万円の納付では約4,900円の持ち出しになります。納付額が大きいほど持ち出しは増えます。
Biz ONEを除くJCB法人カードには、年間の利用金額50万円ごとにJ-POINTボーナスが加算されます。税金の納付額がこの年間利用額に入るかどうかは公表されていないため、次は、入ると仮定した場合の計算です。
- 年間50万円の達成:一般法人カード500ポイント、ゴールド・プラチナ法人カード1,000ポイント
- 以降50万円ごと:一般法人カード1,500ポイント、ゴールド・プラチナ法人カード2,000ポイント
【100万円を納付した場合(ボーナスを含む仮定の計算)】
| 券種 | ポイント相当 (還元率) | 手数料9,900円との差 |
|---|---|---|
| 一般法人カード | 7,000円 (0.70%) | −2,900円 |
| ゴールド・プラチナ法人カード | 8,000円 (0.80%) | −1,900円 |
出典:JCB「J-POINTボーナス」、国税庁「クレジットカード納付のQ&A」
J-POINTボーナスを足しても、手数料には届きません。利用額が増えるほど還元率は一般0.8%、ゴールド以上0.9%に近づきますが、納付額が1,000万円未満の範囲では、手数料率の0.99%に届きません。
Biz ONEは納付額によって手数料負けする
Biz ONEは、1万円ちょうどなら+1円です。ところが納付額が10,001円になると手数料が198円に上がり、最大ポイント相当は100円のため−98円になります。12万3,400円のように区切りのよくない金額でも−53円と、手数料負けします。還元率が1.0%だからといって、常に得になるわけではありません。
しかも、この差額は1ポイントを1円で使えた場合の上限です。交換先によって1ポイントの価値は下がるため、実際の差は表よりさらに開く方向になります。Biz ONEのポイントの価値は、交換先ごとに別の記事で整理しています。

国税と地方税の違い
国税と地方税では、払う入口も手数料の仕組みも別です。国税の表をそのまま地方税に当てはめると、見積もりを誤ります。
【国税と地方税の比較】
| 項目 | 国税 | 地方税 |
|---|---|---|
| 払う入口 | 国税クレジットカードお支払サイト(e-Taxからも進めます) | eLお支払サイト(納付書のeL-QR・eL番号から) |
| 手数料の名前 | 決済手数料 | システム利用料 |
| 手数料の額 | 納付額1万円ごとに99円(税込) | 1万円以下は40円。以降は段階的に増える |
| 払えるかの見分け方 | 税目が対象の一覧にあるか | 納付書にeLマークとeL-QRがあるか |
| 0.5%のカードの損益 | 金額によらず手数料に届かない | 8,000円から1万円までのときだけ利用料以上 |
違いは、次の3点です。
- 国税と地方税で払えるかの見分け方
- 国税の決済手数料と地方税のシステム利用料
- 地方税でのJCB法人カードの損益
国税と地方税で払えるかの見分け方
国税で確認することは、払いたい税目が対象の一覧にあるかだけです。法人税や消費税は対象に入っています。
地方税で確認することは、手元の納付書にeLマークとeL-QR(またはeL番号)が印刷されているかです。印刷されていれば、eLお支払サイトでクレジットカードを選べます。印刷がない納付書はeLお支払サイトを使えないため、納期限の前にカード払いを前提にすると、払えなくなるおそれがあります。
国税の決済手数料と地方税のシステム利用料
手数料の額は、国税と地方税で次のように違います。5万円までは、どちらも公表されている金額です。
【国税の決済手数料と地方税のシステム利用料】
| 納付額 | 国税の決済手数料(税込) | 地方税のシステム利用料(税込) |
|---|---|---|
| 10,000円 | 99円 | 40円 |
| 30,000円 | 297円 | 205円 |
| 50,000円 | 495円 | 370円 |
5万円を超えると、システム利用料は1万円増えるごとに75円(消費税別)ずつ加算されます。実際の金額は、eLお支払サイトで確認できます。
地方税でのJCB法人カードの損益
0.5%のカードは、地方税でも1万円を超えるとポイントが利用料に届きません。2万円の納付なら、利用料123円に対してポイントは100円です。
地方税は、区分の上限の金額で見たシステム利用料の率が0.40〜0.74%と、国税の約0.99%より低くなります。
そのため、Biz ONE(最大1.0%)のポイントは、地方税では利用料を上回りやすくなります。ただし国税と同じように、区分を少し超えた直後は逆転します。10,001円の納付なら、利用料123円に対してBiz ONEの最大ポイント相当は100円です。
カード払いを選ぶ意味があるケース
ポイントで手数料を取り返せなくても、支払いを後ろへずらして手元の資金を残したいときは、カード払いを選ぶ意味があります。
判断に使うのは、次の4点です。
- 引き落としまでの猶予
- 猶予にかかる費用
- 納付額と手数料が収まる利用可能枠
- カード払いが向くケース・向かないケース
引き落としまでの猶予
お支払サイトで手続を完了した日が、納付日になります。カード代金はJCBの毎月15日締め・翌月10日払い(土・日・祝日の場合は翌営業日)で口座から引き落とされるため、納付日に口座へ現金を用意する必要がありません。
法定納期限内に手続を完了していれば、引き落としが納期限より後になっても延滞税はかかりません。法人税の確定申告書の提出期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。
【納付を完了した日と引き落とし日(10月の例)】
締め日の直後に払うほど、引き落としまでの期間は長くなります。売上の処理時期によっては請求月がずれることもあるため、日数はあくまで目安です。
締め日・支払日の仕組みと、支払いが遅れた場合の扱いは、次の記事で解説しています。

出典:国税庁「クレジットカード納付のQ&A」、JCB「ご利用代金のお支払いについて」
猶予にかかる費用
この猶予にかかる費用が、手数料からポイントを引いた差額です。100万円の納付なら、0.5%のカードは約4,900円の持ち出しで、Biz ONEは最大ポイント相当で見れば差額が+100円です。約26日〜55日の猶予に、その金額を払う価値があるかどうかで判断します。
Biz ONEゴールドなら、税金の納付額も年間100万円(税込)以上の利用に数えられます。翌年度の年会費5,500円(税込)が無料になる条件の達成に使えます。
納付額と手数料が収まる利用可能枠
気をつけたいのは利用可能枠です。国税のカード納付で使える金額は、1回の手続につき1,000万円未満で、かつカードの決済可能額以下(決済手数料を含む)です。納付額だけでなく、決済手数料を加えた金額が利用可能枠に収まる必要があります。納付に使った分だけ、その月の経費の決済に使える枠も減ります。
利用可能枠の決まり方と増枠の方法は、次の記事で解説しています。

カード払いが向くケース・向かないケース
- 引き落としを後ろへずらして、手元の資金を残したい
- Biz ONEで払い、手数料との差が小さい納付額
- 利用可能枠に、納付額と手数料の合計を超える余裕がある
- Biz ONEゴールドの年会費無料の条件を満たしたい
- ポイントで手数料を取り返したい(0.5%のカード)
- 手元の資金に余裕があり、手数料を払う理由がない
- 利用可能枠がぎりぎりの月
- 領収証書や納税証明書を急いで用意したい
領収証書が必要なときは、納付書を使って窓口で現金払いにする方法になります(窓口ではカードを使えません)。納税証明書も、カード納付のあと発行まで時間がかかることがあります。融資や補助金の申請日が決まっているときは、この点も判断材料になります。
税金をJCB法人カードで払う手順
国税と地方税は、入口も手順も別です。どちらも手続を完了すると取り消せず、領収証書も出ません。国税は納付のたびに手続が必要で、誤って納付しても決済手数料は還付の対象外です。
- 国税の払い方
- 地方税の払い方
それぞれの手順をみていきましょう。
国税の払い方
国税クレジットカードお支払サイトで、納付額に対する決済手数料を確認します。
税目・課税期間・納付額を、申告書や税務署からの通知書を見て入力します。e-Taxの受信通知から進むと、税目や納付額が引き継がれます。
カード番号などと、完了メールの送信先を入力します。1回の手続で使えるカードは1枚です。
確定後は取り消せないため、税目・課税期間・納付額を見直します。
「納付」を押して確定し、完了画面を印刷するか、完了メールを保存します。
納付の記録は、完了画面と完了メールで残します。この2つは、決済手数料の適格(簡易)請求書として使えます。納付の記録はカードの利用明細にも残ります。納税証明書が必要なときは、税務署に別途請求します。カード納付のあと、発行までに時間がかかることがあります。
地方税の払い方
地方税は、納付書にeLマークとeL-QRが印刷されているものが対象です。
- 納付書に、eLマークとeL-QR(またはeL番号)があるかを見る
- eLお支払サイトを開き、「お支払サイトでお支払い」を押す
- eL-QRをカメラで読み取るか、eL番号を入力して、内容を確かめて「お支払いに進む」を押す
- お支払い方法でクレジットカードを選び、画面に従って決済し、完了画面を見る
決済ではシステム利用料が別にかかります。納付額が5万円までなら、40円から370円です。
出典:地方税共同機構「お支払いの手順」、地方税共同機構「ご利用可能なお支払い方法」
まとめ:手数料との差を見て、猶予が必要なときに使う
JCB法人カードで税金は払えます。ただし国税の決済手数料は最低でも約0.99%で、一般・ゴールド・プラチナ法人カード(最大0.5%)は届かず、Biz ONE(最大1.0%)も納付額が少し変わるだけで手数料のほうが大きくなります。
ポイントで得をすることが目的なら、税金をカード払いにする必要はありません。手元の資金を残して支払いを後ろへずらしたいときに、手数料を猶予にかかる費用として払うのが、この使い方です。次の納付の前に、納付額から手数料を計算し、利用可能枠に納付額と手数料の合計が収まるかを見て、カード払いにするかを決めましょう。
どの券種を持つかで税金の損益が変わる点は、JCB法人カードの3枚の違いとあわせて、別の記事で整理しています。



コメント